FXのシステムトレードで使われるEAには、いくつかの基本的手法があります。
その中の一つに、マーチンゲールがあるのをご存知でしょうか。
マーチンゲール法は、確率的に限りなく100%近い勝率を出すと言われています。
もしそんな手法があるなら、ぜひ知りたいと思うでしょう。
そして、そんな手法があるなら、ほかの手法はいらないと思うかもしれません。
本記事では、 マーチンゲールの基礎から実用における問題点、
EAへの適用の仕方までを解説します。
目次
カジノで有名なマーチンゲールとは?
マーチンゲール法とは、理論上なら必ず勝てるベッティングシステムのことです。
最もシンプルなゲームで説明すると、コインの裏表を当てる時のお金のかけ方があります。
コインの裏表は勝率50%のゲームです。
これに対し、当たりで掛け金が2倍になるとします。
この条件下で、勝てるまで掛け金を2倍ずつ増やしていく掛け方がマーチンゲール法です。
以下のように表にするとわかりやすいでしょう。
ゲーム回数 | 掛け金 | 累積損失 | 買ったときの利益 |
1回目 | 100円 | 100円 | 100円 |
2回目 | 200円 | 300円 | 100円 |
3回目 | 400円 | 700円 | 100円 |
4回目 | 800円 | 1,500円 | 100円 |
表からわかるように、何回負けても最後に1回だけ勝てば、
最初の掛け金の倍の利益が得られることになります。
これから言える主な特徴は2つあります。
マーチンゲールの特徴1
まず一つ目は、掛け金を2倍ずつ増やす必要があることです。
勝率50%のゲームの場合、4連敗する確率は約3.9%です。
これは、4回やれば96.1%の確率で100円の利益が出るということになります。
そして、ゲーム回数を増やすほど、100円の利益を得られる確率が高くなっていきます。
やればやるほど、勝つ確率が高くなるので、有利な掛け方のように見えます。
マーチンゲールの特徴2
しかし2つ目の特徴として、累積損失も2倍ずつ増えていくことがわかります。
何回ゲームをしても買ったときの利益は100円です。
これに対し、累積損失はものすごい勢いで増えていくわけです。
当然、勝つ前に資金が尽きれば、累積損失を取り戻すことなく終わりになります。
マーチンゲール法について、コインの裏表を当てるゲームを例に解説しました。
次では、これをFXトレードに置き換えるとどうなるか、考えてみましょう。
マーチンゲールをFXに適用するとどうなるか?
マーチンゲール法をFXに適用するときに考えるべきポイントは次の2点です。
一つは勝率、もう一つは掛金になります。
マーチンゲール法をFXに適用するときに考えるべきポイント1
まず勝率は上がるか、下がるかの2択なので50%と言えそうです。
値幅をどれくらいに設定するかで、一回の損失額を決められます。
例えば、ロングポジションで勝負するとき、
0.5%上がったら利益確定、
0.5%下がったら損切とします。
マーチンゲール法をFXに適用するときに考えるべきポイント2
次に掛け金です。
これは許容最大損失(最大ドローダウン)から逆算して、
1回のポジション量を決められそうです。
1回のポジション量の2倍の金額が利益になります。
この考え方でマーチンゲール法を評価すると、
利益は一定で最大ドローダウンが無限に大きくなる方法となります。
具体的に考えると、最初のポジションに対し、
利益を得るまでに必要な資金が3倍、7倍、15倍と増えていくことになります。
この仮定では、マーチンゲール法が資産を増やすのに有効とは言えなさそうです。
必要な資金が非常に大きくなる一方で、
得られる利益は最小ポジションの2倍にしかならないわけですから。
ではなぜ、EAにマーチンゲール法を搭載したものが多く存在しているのでしょうか。
その点について、考えてみます。
マーチンゲール法を活かしたEAの作り方を考えてみる
マーチンゲール法には、重要な要素が二つありました。
それは勝率と掛け金です。
この2つを分析すれば、マーチンゲール法を使って優秀なEAを作ることができます。
マーチンゲール法を使って優秀なEAを作る時に考える「勝率」を分析
まず勝率ですが、単純に上げ下げを仮定すると勝率は50%と言えます。
しかしFXをはじめとする相場は、特定の条件下で価格の上下の確率が変わるといえます。
例えば、5本足移動平均線の順張りトレンドの最中に、
小さい値幅の上昇を仮定すると、その確率は50%以上になります。
その条件でポジションを取り、利益を確定するようなEAを組めば、
最大ドローダウンを抑え、勝率の高いマーチンゲール型のEAを作れます。
マーチンゲール法を使って優秀なEAを作る時に考える「掛け金」を分析
また掛け金(ポジション)も、他のテクニカル指標を使って調整すれば、
マーチンゲール法の欠点を補うロジックを組めます。
実際、いくつかのEAは特定の条件が整ったときに
マーチンゲール法のポジション管理に切り替えたりしています。
単純にマーチンゲール法を適用すると、収益面で魅力のない手法に見えます。
しかし、その要素である勝率と掛け金を、
別のテクニカルなどで補強してあげれば、
実用的なEAを作ることもできます。
マーチンゲール法の最大のメリットは、
理論的には必ず勝てる掛け方であるということです。
その勝つまでの過程をうまく調整して、
期待収益率の高いEAを作ることは可能と言えます。
まとめ
EAでよく使われているマーチンゲール法について、紹介しました。
マーチンゲール法自体は、理論的に必ず勝てる手法ですが、
実行するには難しい点が存在します。
FXでは、マーチンゲール法でキーとなる要素を補強することで、
優秀なEAを作ることができそうです。マーチンゲール法をうまく使って、
あなたの運用成績向上に役立ててください。
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